フランスの夜行列車で、お財布にも地球にも優しい旅

2025年はパリ以外のフランスの街をたくさん巡りたいので、今年最初の旅は太陽を求めて“冬のリヴィエラ”へ行くことにしました。

移動手段には大好きなエールフランスでなく、ずーっと気になっていた夜行列車 (アンテルシテ・ド・ニュイ Intercités de Nuit )を利用しました。
LINEやインスタのDMなどでいくつかご質問をいただきましたので、記憶が新鮮なうちに記事にしておこうと思います。
(動画も撮っているので、追々YouTubeにも載せる予定です)


ぼくらが夜行列車で旅に出る理由

私が夜行列車を選んだ理由は

  • 安い
  • ホテル代を浮かせる
  • 移動の間に眠れる

といくつか挙げられるのですが、やっぱり魅力的なのは3番目の「夜寝て目覚めたら目的地」と言うところです。
パリからニースまで14時間もかかるので、実質の時間の節約にはならないんですけどね。

値段ももちろん魅力的なところ。
ここ数年、パリは本当に宿泊代が高いので、ホテル代わりと思えばさらにお得感もあります。

ところが、フランス人には値段や時間の節約以上に訴求ポイントがありました。
それは電車移動は「環境に優しい移動手段」(ソフトモビリティ)だと言うこと。

日本の何倍も、もはや遺伝子レベルでエコ意識の高いフランスでは、地球に優しい行動こそがCOOLでかっこいいと言う風潮があります。
実際に私もフランス人の同僚に「私もう5年も飛行機に乗ってないの!すごいでしょ」とドヤされたことがありました。
その時は「飛行機に乗らないとフランスに行けないし、船で旅しろとでも!?」としか思わなかったんですけど、2023年に「2.5時間以内で移動できる代替手段がある路線のフランス国内フライト廃止」が法律で決まったことからも、列車旅はフランスで最もトレンディーな移動手段なので、今ならその同僚のドヤ具合が多少わかるようになったわけです。
それはそうと、所々昭和人間なワードセンスが出ることをお許しください。

予約方法

購入の仕方もとても簡単です。普段の列車と同様、SNCFのホームページもしくはアプリから予約可能です。


「couchette 」って言うのが寝台車です。ベッドでなくて座席タイプもありますが、セキュリティ上おすすめできません。

あと、couchette(寝台車)なら無料で「Espace dame seule」(女性専用室)も選べます。
↓2等車の予約画面です。「inférieure」が最下段、「milieu」が中段、「supérieure」が上段です。

スーツケースがある人は下段がいいかもしれません。

私は南仏に行ってからも移動が多かったので、今回はバックパックと小さいショルダーバッグで行くことにしたので、「他人を気にせずにぐっすり眠れる」と噂の上段を選びました。

一度は2等車(キャンセル可)を予約したのですが、先輩からおすすめされたので1等車に変更しました。
2等車は一室のベッド数が6個、1等車は4個の違いです。

追加料金で一室丸ごと予約することもできます。
THE・富裕層と言うような綺麗なブランド物に身を包んだご家族の姿もちらほらとお見かけしたので、ほんとこの交通手段を選ぶのは、値段じゃないんだなあと実感しました。


パリ・オステルリッツ駅から南仏へ

パリ・オステルリッツ駅が始発です。
20:08発で、40分ほど前にはホーム番号が掲示されていました。

ホームの入り口で検札(予約時に発行されるQRコードをピッとされます)。

ホーム番号表示とほぼ同時にホームに向かいましたが、同じ室内にはすでに3人乗っていました。フランス人にしては行動が早い!

室内の様子

私のベッドは上段なんですが、知らん人の足がハシゴで邪魔していたので「Pardon」と言いながら、どうにかこうにか自分の領地に着陸。

ペットボトルがあるのはありがたい。あと何やら気になる巾着袋も各ベッドに備わっていました。

アイマスク、耳栓、ティッシュ、チュアブルタイプの歯磨きタブレットなど、なんとも有難いセットでした。

飛行機のアメニティがどんどん減っているなかで、こんなにSNCFのオリジナルグッズがいただけるなんて、感激です。大切に使わずに持って帰ります。
こうしてまた捨てられないコレクションが増えていくのだよなあ…私はエールフランスのおしぼりですらメルカリで購入するような人間ですので。

推しが国単位になると、ほんと物が増えて(捨てられなくて)大変!

フワッフワの枕と、掛け布団。
壁が赤、ベッドがネイビー、枕は白!トリコロールだ!わっしょいわっしょい!!

と、テンションが爆上がりで一人デカいバックパックを担いだまま静かにはしゃいでいたのですが、私の下の段の住人(リリー・コリンズを5倍に希釈したような美人)が、いきなり臨時室長のように仕切りだしました。

薄いリリー「Alors、私は終点のニースまで乗るわ。あなたは?トゥーロンね。あなたは?あなたもニースね。そしてあなたは?」
私「私はマルセイユで降ります!」
薄いリリー「OK、今夜はよろしくね。しばらく経ったら私が部屋の電気を切るわね」

と、仕切ってくれるのは夜行列車初心者の自分には有難い。
どうやら私がこの室内で一番先に離脱するので、忘れないうちに音なしで朝6時前から2分刻みでアラームを設定しておいた。

荷物を下ろして、上着と靴を脱いで、とりあえず布団敷いて横になって一息つく。
そして時間通りに電車は出発。


あー、今日もよく歩いたなー。さて、ちょっと一息ついたら写真をPCにバックアップとって、その後インスタでもアップしようかな。

あれ?

どうやら横になったら2秒後くらいに眠りについていたようです。まさかの20時台に寝てしまっていました。旅の疲れもあるんでしょうけど、爆睡しました。
音なしアラームでちゃんと起きられましたが、6時に車掌がご機嫌で「Bonjour!あと20分でマルセイユに着きますよー!」とアナウンスしていました。

よく考えたら上段では固定ベルトがなかったので、寝相の悪い方は下段がいいと思います。
私も寝相がいい方ではないので、ただ落ちなかったのか、落ちそうになっているのを薄いリリーが助けてくれたのかすら真相はわかりません。

車掌のご機嫌アナウンスがあっても同室の3人は熟睡しているようなので、私はそろりそろりと(今年早くも2度目の和泉元彌の真似をするチョコプラ)退室。

朝6時20分。定刻通りにマルセイユに着きました。

旅の疲れが出ていたとはいえ、想像以上に快適な旅でした。
フルフラットで眠れるって飛行機ではビジネスクラスでないとあり得ないのですが、こんなにも快適だなんて!!


復路はニースが始発

でも私、結局すやすやと寝ていただけで、これでは何もレポートになっていない!

なので復路はちゃんと写真撮ろうと、心に誓ったのであります。
帰りは、始発のニースから。19時発、翌朝9時パリ着の長旅です。

一等車室内の様子

通路は一等車も二等車も同じ。とにかく狭いです。部屋の入り口にはベッドの番号が振ってあるので、シンプルでわかりやすいと思います。

荷物置き場、上段なら足元と枕の上の2箇所。下段はベッドの下など。狭い廊下を通り抜ける必要はありますが、荷物が多くても大丈夫そうです。

部屋の温度は調節可能で、部屋ごとにランプが消せますし、ベッドごとに読書灯もついています。
部屋は内側から鍵がかけられるので、セキュリティも安全です。
Wifiも完備で、速度も問題なしでした。

復路でももちろん巾着袋コレクションを大切にバックパックに忍ばせます。

そして復路にして気づきましたが、掛け布団に「夏用」と「冬用」の向きがありました!!

食堂車はないけどおかし・おつまみは買えます

Point informationで、何やら食糧や飲み物を売っているというアナウンスがあったので寄ってみました。
ポテチやサラミ、お水にオレンジジュース、コーヒーなど温かい飲み物などが購入できます。
もちろんここでもスマホのタッチ決済(クレカ)で行けました。
Chocolat chaud(3.9€)を注文したら粉をお湯で溶かすタイプでしたが、温かい物がいただけるのは有難い。

ベッドには、小さい小さいテーブルもあります。Lidlで買ったパンオレザンと共にいただきまーす!

出発してもしばらく誰も乗ってこなくて、「パリまで貸切…?」とワクワクしていたんですが、アンティーブあたりで親子が下段に乗ってきました。
半ズボンから除く御御足がタトゥーだらけでちょっとだけ驚きましたが、ここは日本じゃないのでタトゥー如きで驚いていたらあかんですね。

メイクを落とし、歯磨き、トイレ(広いです)を済ませて、寝る準備も整いました。
部屋へ戻ると親子も眠たさそうにしていたので、電気を消しておやすみなさい。

また爆睡したら、あっという間にパリに着きました。

親子はホームにたどり着く前に部屋から出て行きましたが、親子のベッドを見てみると、あああああ!

これが正しい布団の使い方だったのか!なるほど、シーツにもなって、中に入る寝袋タイプだったとは!

一等車の特権・シャワー利用

さてさて。パリの街に繰り出す前に、駅のシャワールームに向かいます。

一等車利用客は、この「Espace Services」に行って、乗車券を見せるとシャワーの利用ができるのです。(パリ・オステルリッツ駅、トゥールーズ駅に到着時の場合)

飛行機のプチラウンジ的な感じ。私の東京の部屋よりもずっと綺麗!

受付でタオルの貸し出しも。トイレ付きシャワールームは広々しているので、スーツケースも楽々入れられます。

すごく清潔に整えられていて、お湯も勢いよく出るし、最高ですねー。

次回、南仏を訪れる機会があれば、ぜひ再び利用したいと思えるほどでした。
この体験が旅をさらに特別なものにしてくれたと感じています。

シャワーを出たら、ムッシュが「お、カメラ持ってる。俺も撮ってくれよ」と。パチリ!

パリの空は小雨模様でした。でも心は晴れ晴れ〜!